テーブル席には2組のお客さんがいて、そのどっちもが若いカップル。
笑顔で寄り添っていて、とても仲が良さそう。
デートでこういう場所に来るのって、雰囲気があっていいよね。
太一は飲まないあたしを気遣って、イタリアンやファミレスに連れて行ってくれることが多かった。
たまにはこういうところに来るのもいいな。
って‼
やだ、あたし。
太一のことは考えないようにしようって決めたのに。
気付くと考えてしまっている。
ああ、もう‼
本当にやだ‼
なにが嫌かって、太一のことを許しかけてる自分自身が一番嫌だ。
ダメだって思うのに
きっとまた繰り返すってわかってるのに
あたしは太一の言葉を鵜呑みにしようとしてる。
傷付いてボロボロになるのはあたしなのに、その手を離せないのはなんでだろう。
好きか嫌いかとか、そんなのはもうわからない。
ただ、胸が苦しい。



