市井さんの人を見る目は、結構当たっているんじゃないかと思う。
接客をすると瞬時にその人がどんな性格をしてて、どんな声掛けをすれば喜んでくれるのかを判断出来る人だから。
仕事上のトラブルとか苦情を言われることもあるけど、市井さんはどんな時でも真摯に真っ直ぐに向き合っている。
だからこそ、市井さんは店長やマネージャーから厚い信頼を得ているのだ。
あたしも見習わなきゃね。
「お待たせ致しました、ご指名ありがとうございます」
穏やかなBGMに混ざって威勢の良い声が聞こえて来た。
それはアキラ君の声で、指名した市井さんに笑顔を向けている。
そしてあたしにも挨拶をしてくれて、市井さんの隣に腰を下ろした。
「初めまして、ナツヤっす」
あたしの隣に座ったのは、にこりともしないクールで冷たい印象を与える男の人。
なんだか無表情だし、話しにくい雰囲気。
「お名前伺ってもいいっすか?」
「あ、妃芽です」
「なに飲みますか?」
「えっと、甘めのカクテルで」
「了解っす」
淡々と繰り返される会話。もちろん、笑顔はない。
気まずすぎますってば!



