俺様ホストに愛されて



初めてのホストクラブに緊張感が半端ない。



「どうして辰巳さんを指名しなかったんですか?」



ボックス席のソファーに座って二人きりになった隙に、市井さんに問い掛けた。



店内には穏やかなBGMが掛かっていて、ゆったりした時間が流れている。



もっとこう騒がしいイメージがあったけど、全然そうじゃない。



騒ぎ立てるお客さんもいないし、静かに談笑する声がところどころから聞こえて来るくらい。



リュウの姿は見える限りでは見当たらない。



と言うよりも、暗くてあまり遠くの方まで見えないんだけど。



「あたしね、ナンバーワンとかに興味ないんだ〜。どっちかっていうと、陰で努力してるような人を応援してあげたいと思うタイプだから」



出ました、まさしく姉御肌的発言。



「じゃあそのアキラ君って人は、陰で頑張ってるってことですか?」



上質なソファーに体が思った以上に沈んで、座り心地がとても良い。



市井さんは体を少しだけ前にずらすと、あたしの顔を覗き込むようにして見て来た。



「それは話してみなきゃわからないよ。写真だけ見て直感で決めちゃうからね」



そっか、なんかすごいな。