うーん……。
なんだかますます入り辛くなって来たかも。
気後れしちゃって顔が引き攣る。
「さ、行くよ」
スタスタ前を行く市井さんは、この状況を楽しんでいるようだった。
「お待ち下さい」
市井さんが扉に近付こうとした瞬間、ガタイの良いボディガードの男性に止められた。
サングラスまで掛けてるし、スーツのボタンは筋肉がすごいせいかはち切れそう。
こ、こわすぎる。
「なんですか?」
黙って見ていることしか出来なかったあたしだけど、市井さんは強気な態度を見せた。
前から思ってたけど、市井さんって本当に肝が座ってる。
まさに姉御肌的な頼りになる存在。
「身分証を拝見させて頂けますか?」
低い声で淡々と言葉を放った男の人は、あたし達を上から見下ろしている。
その身なりだけで十分人を怯ませる力があるのに、言葉が加わるとそれは余計に増す。
「あたし達、怪しい者じゃありません」
強気で言い返す市井さんにハラハラドキドキ。



