「ここだよ」
うわっ、すごい。
目の前の光景にゴクリとツバを呑み込む。
どこよりも一際高級感を放つ外観は、白のレンガ調の壁で覆われていて。
ブルーの文字でACQUAと入っている。
他のお店は外観も看板もシンプルなのに、ここだけ明らかに雰囲気が違っていた。
さっき入って行った人、高級な毛皮を纏っていて社長婦人っぽかった。
なにより、お店の大きな扉の前に黒服の男の人が立っている。
その人はホストっぽくなくて、どちらかというとボディガードと呼ぶに相応しい身なりや体格をしていた。
「あの人、ここ専属のボディガードだよ。これだけ有名だと変なお客さんも多いらしいから」
ホストクラブにボディガード⁉
「すごいんですね」
それだけ粒揃いってことなんだろうか。
でもボディガードを付けるほどって。
芸能人じゃあるまいし。
あたし達は、お店から少し離れたところで立ち止まって話していた。



