結局、リュウはあたしが選んだ方のペアリングを買ってくれた。
引け目を感じちゃうけど、素直に好意として受け取ろう。
手を繋いでリュウと並んで歩く。
「あ、リュウの誕生日プレゼント買ってない‼」
マンションが目の前に迫って来たところで、そんな重大なことに気付いた。
指輪選びに気を取られ過ぎてすっかり忘れてた。
あたしってば、かなりバカ。
「ごめんね……あたしだけ買ってもらっちゃって」
夕方の冬空の下、温かいリュウの手だけが安心感を与えてくれる。
「いいって。帰ってからもらうから」
含みを持たせて笑ったリュウ。その笑顔は本当にカッコ良くて、何度見てもドキッとする。
「でも、なにも用意してないよ?」
「ま、帰ってからのお楽しみってことで」
意味深なリュウの言葉に、あたしは一応納得してみせた。



