「や、やっぱり……あっちのお店のやつの方が可愛かったかも」
さすがにこの値段にはびっくり。
まさか、ここまですごいお店だったとは。
「なんなら、ペアリングにするか？」
リュウはなにを勘違いしたのか、あたしがピンキーリングを嫌がっていると思い込んだらしい。
ペアリングって
隣にディスプレイされていたペアリングに恐る恐る目をやる。
ろ、60万⁉
途端にめまいがして倒れそうになった。
凡人のあたしには、とても手が出ないような金額。
「そ、それは、ちょっと」
遠慮がちに言うと、リュウは突然ムッと唇を尖らせた。
「俺とお揃いが嫌なのかよ？」
「ううん」
嫌じゃないけどさ
嬉しいけどさ
高すぎるんだよ。
だけど、そんなこと言いにくい。
「じゃあいいだろ。ペアリングにするって決めたから、デザインは妃芽が選べよ」
有無を言わさないリュウに、気後れしながらペアリングを選ぶ。
リュウはその間、店員さんになにかを言っていた。
んー。
比較的値段の安い物を探してみてるけど、それでも二つで50万はする。
指輪選びにここまで悩むのって初めてかもしれない。
