「お前が俺を捨てるんだったら、マジで死ぬから」
そう言った太一の目は、真剣で冗談を言っているようには見えない。
「な、なに言ってんの……っ?」
し、死ぬって⁉
本気⁉
「お前に捨てられるんだったら死んだ方がマシだ」
「いや……ちょ、待ってよ」
意味が、わからないよ。
太一は話を続ける。
「彼氏がいるって言われて、初めて目が覚めた。他の男に取られたくねぇって思ったんだ。だから、もう一回やり直そう」
な、にそれ。
「あたし、彼氏いるし……」
それに、今さら都合が良すぎる。
そもそもあたしは、もう太一を好きじゃない。
「さっきの男、ホストなんじゃねぇの?どうせ、傷付けられて捨てられるのがオチだろ」
バカにするように口角を上げて笑う太一の顔は、驚くほどに冷たくて怖かった。
怒りを感じるのは確かだけど、なにも言い返せない。
太一がこんな顔をするだなんて信じられなかった。



