はぁ ため息しか出ない。 涙はいつの間にか引っ込んでいた。 あれで太一が納得したとは思えないけど、とにかく今はもうなにも考えたくない。 路地裏を奥に向かって歩く。 隣の筋の賑やかな繁華街よりも、こっちの方が今のあたしには居心地が良い。 不気味だし薄暗いから、めったにここを通ることはなかったけど、奥まで道は続いていた。 あれ? こんなところにお店なんてあったっけ? 薄暗い中に光るピンク色のネオンを見つけて、あたしは吸い込まれるようにそこへ足を向けた。