次の日
少し早く来てしまったあたし。
いつもならこの近くにあるカフェで時間を潰していたけど、今日はそういう気分にはなれない。
そわそわしながら太一が来るのを待っていた。
「妃芽さん……⁉」
雑踏の中、一つの足音があたしの前でピタッと止まった。
「え……と、ノボル……君?」
目の前には無造作に髪をアレンジして、スーツを着ているノボル君がいた。
「どうしたんすか?あ、今から辰巳さんとデートっすか?」
ニヤニヤ笑いながら、ノボル君はあたしを見て来る。
「そんなんじゃないよ‼ちょっと用事で」
「そうっすね。辰巳さん、お店ありますもんね」
ノボル君の弾けた笑顔を見ていると、少しだけ緊張感が和らいだ。



