「……芽っ」



んっ。



「妃芽」



「んっ……な、に?」



「んなとこで寝てたら風邪引くぞ」



ソファーに寝そべるあたしの頭を優しく撫でて来るリュウの手は、温かくて気持ち良い。



高級な革張りのソファーは、寝心地が最高ですぐに睡魔に襲われるのだ。



「ん……ベッド、行く」



うっすら目を開けながら伸びをすると、ソファーがギシッと軋む音がしてリュウの体がそこに沈んだ。



たったそれだけのことに、意識の全てがそこに持っていかれる。



「リュウは、寝ないの……?」



リュウの手に頬をすり寄せながら、寝ぼけ眼で問いかける。