一抹の不安を拭い切れないまま居酒屋を出たあたし達。
リュウのことも話そうと思っていたけど、そんな雰囲気ではなくなってしまった。
心配、させてるよね。
亜希はいつだってそう。
自分のことより、人の心配をしてばかり。
結構飲んだはずなのに全く酔えなくて、流れる人の波に呑まれて歩いた。
隣にいる亜希も、あたしの話を聞いてから酔いが醒めたのか、すっかり大人しくなってしまっている。
「オススメのバーがあるんだけど……行ってみない?」
時間が早いから満席ではないはずだ。
なにより、どんより沈んでしまった気持ちを切り替えたかった。
「うん」
そんなあたしの気持ちを汲んでくれたのか、心配そうな表情を浮かべながらも亜希は優しく笑ってくれた。



