亜希にこんな顔をさせているのは、紛れもなくあたし。
だけど、その言葉に頷くことが出来ない。
「一人で抱え込んで無理するんだから……ストーカー行為を甘く見ちゃダメだよ?殺される人だって多いんだからっ」
こ、殺されるって……
鼓動がドクリと鳴った。
「太一に……そんな度胸ないよ」
そうは言ったけど、声は震えていた。
ただ、そう思いたかった。
それに、やっぱり太一がそんなことをする人だなんて思えない。
「衝動的になったら、人間なにするかわかんないんだからね?もう少し人を疑って掛かった方がいいよ」
「…………」
なにも言えなかった。
亜希の言う通りだと思ったから。
亜希は流れる涙をおしぼりで拭うと、ジョッキグラスを持ち上げて口に運んだ。



