ガチャ
リビングへ戻ると、一面の窓にカーテンが引かれていた。
部屋の中もメインの電気が消えて、天井に備え付けられている小さな電球が数カ所点いているだけ。
ちょっと薄暗いけど歩く分には問題ない。
家具以外の余計な物が一切ないリビングは、生活感がなくて殺伐としていた。
「…リュウ?」
肝心のリュウの姿がどこにも見当たらない。
だけど勝手に動き回るのは悪い気がして、あたしはさっきと同じように窓の方へと歩み寄った。
少しだけカーテンを開けて、大理石の出っ張り部分に座る。
ガラス窓におデコを当てて上を見ると、星空がすぐ近くにあるのがわかった。
30階にあるこの部屋からは、高層ビルも同じ高さに見えた。



