広ーい湯船に浸かってそんなことを考えていると、スリガラス式のドアがコンコンと叩かれた。
「へっ⁉」
な、なにっ⁉
誰っ⁉
って、リュウしかいないけど。
びっくりして、思わず顎先をお湯に沈めて縮こまる。
っていうか……襲われる?
待って、心の準備がまだ‼
コンコン
「はっ、はひっ⁉」
緊張して声が上ずる。
はひって
自分がマヌケ過ぎて嫌になる。
「遅いからのぼせてんじゃねぇかと思って」
笑いを含んだリュウの声が、スリガラスの向こう側から聞こえた。
「だ、大丈夫……‼ちょっと考えごとしてただけだから」
もー、びっくりさせないでよ。
「さっさと出て来いよ」
「う、うん‼」



