「着替えはかすから。メイク落としとか洗顔も、洗面台にあるから適当に使え」
え……?
「あ、うん……」
本来ならリュウには必要のないメイク落とし。
それがあるってことは
元カノのもの……とか?
不意にそんな嫌な考えが浮かんで来て、気分が沈んだ。
「勘違いすんなよ?妹のだから」
暗くなったあたしの顔を見て、気持ちを察してくれたらしい。
単純だけど、たったそれだけのことで沈んだ気持ちが一気に明るくなった。
本来の恋って、こういうものなんだよね。
いつしか忘れ去ってた恋する気持ち。
太一といた時間の中で、こんな時間もあったはずなんだろうけど。
純粋に相手を想ってドキドキしていたのは、いつが最後だろう。
もう忘れちゃったよ
嫉妬と憎悪に満ちた気持ち。
それが最後に抱いた太一への気持ちだった。



