あまりにも真剣なその顔と、今までのリュウのあたしに対する態度から、騙されているとかその言葉がウソだとか、そんな風には思わなかった。
抱き締め合っていた体を離すと、リュウの顔がゆっくり近付いて来た。
後頭部に回された手に力が加わる。
キスされると本能が判断して、唇が重なり合う直前静かにそっと目を閉じた。
リュウの唇は意外にも温かくて、そこからどんどん熱が伝わる。
「んっ……」
優しく繰り返されるキスに、思考回路が甘く溶かされていく。
リュウのことしか考えられない。
顔が熱い。
「妃芽……可愛すぎ」
必死にしがみ付きながらキスを受けているあたしを見て、フッと余裕しゃくしゃくで笑うリュウ。
その言葉に、顔がさらに熱くなる。
「もう……!からかわないでっ」
ああもう、どうしてこう可愛くない言い方を。
素直に喜べたら、言葉通り可愛いと思うんだけどね。
「ぷっ、照れんなって。俺、お世辞言わない主義だし」
そうやって、一瞬で心を掻き乱すようなことを言うのはやめてほしい。



