今、なにを考えてるの?
その無表情からはなにも読み取れない。
「あ、ありがとう。困ってたから、助かった」
あたしはリュウのスーツの裾に、無意識に手を伸ばした。
だけど、リュウはなにも言ってくれなくて……
茶色の髪が秋の夜風に吹かれてなびくのを、ただ黙ったまま見つめていた。
「リュウ……?」
俯いてどこか一点を見つめるリュウは、なぜだか少し寂しそうな顔をしているように見えた。
どうしちゃったの……?
さっきまで、すごい剣幕で怒っていたというのに。
「ねぇ……?」
カバンを持った方の手で、もう一方のスーツの裾に伸ばした。



