俺様ホストに愛されて



「とにかく……」



そう言いかけた時、ふとスカッシュ系の香りが鼻先をかすめた。



背後から手が伸びて来て、振り返る間もなく耳に当てていたスマフォが奪われる。



え……⁉



それは本当に一瞬の出来事だった。



振り返るとそこには、あたしのスマフォを耳に当てて不機嫌そうな声を出すリュウの後ろ姿。



「てめえ、人の女に手出してんじゃねぇよ」



な、んで、リュウが⁉



しかも、人の女って……?



その言葉に、予想外に胸がキューッと疼く。



くるんと跳ねたリュウの襟足の髪を呆然と眺めていると、沸き立つ怒りが急速に鎮まっていった。



「あ?ふざけんじゃねぇぞ⁉好きな女平気で傷付ける奴が、調子良いことばっか言ってんじゃねぇよ」



今までに聞いたことのないような低く冷たい声。



漂うオーラからは怒りの色が感じ取れた。