太一が住むマンションを出たあたしは、行く当てもなくただ呆然と歩いていた。
本当、なにやってんだろ。
今日は太一の部屋にある忘れ物を取りに寄っただけだったのに。
こんなことなら、来るんじゃなかった。
太一とは高校2年の冬から付き合い始めた。
おっとりしてて優しくて、爽やかな笑顔が印象的で。
友達から羨ましいってよく言われたっけ。
告白されてから付き合って2年半。
最初の浮気が発覚してから1年。
この間に何度別れを切り出して、何度許して来たのかは覚えてない。
太一は優しいけど、それはあたしに対してだけじゃなくて
誰にでも分け隔てなく優しい。
基本的に怒ることもないし、いつも輪の中心にいて、まとめ役をしてくれる頼れる存在だった。
爽やかな好青年タイプでイケメンだしよくモテる。
詳しくは知らないけど、大学内でもよく告白されているらしかった。



