「ち、近いよ」
そう言って、ソファーの端の方へ身を寄せる。
本来なら2人掛けのソファーのはずなのに、今は3人並んでるんだもん。
ぎゅうぎゅうでちょっと狭苦しい。
目の前の2人掛けのソファーが空いてるんだから、そっちに座ればいいのに。
ホストっていう生き物は、みんなこんな至近距離が好きなのか?
「俺はここがいいんだよ」
「そっか。じゃああたしが向こう行くね」
出来れば、カウンターのスツールに座りたいんだけど。
「それじゃ意味ねぇだろ?ここにいろ」
行く手を阻むようにあたしの腕を掴んだリュウは、白スーツさんをギロッと睨み付けて
「向こう行け。近寄るな。今すぐ出てけ」
不機嫌そうな顔を一切緩めることなく、一息でそう言い切った。



