振り返ったあたしは、そのあまりの綺麗な男の人の顔に驚いた。
え……と、誰?
「な、なんで、すか……?」
知らないよ、こんな人。
白のスーツがよく似合う、女性以上に綺麗な男の人。
「帰らないでよ、お願い」
困惑顔のあたしに笑顔を向けて、「ね?」と諭すように言ってのけたその人。
甘く、どこまでも爽やかなその笑顔に、無意識に頷きかけたけど、流されちゃいけない。
「あたし、辰巳さんって人知らないんで……すみません」
多分あたしは悪くないと思うんだけど、一応ペコッと頭を下げて謝った。
「いや、知ってると思うけど……?ほら、あそこにいるのが辰巳だよ」
そう言われて、その人が指さした方を見ると
黒いスーツに身を包み、クールに笑って挨拶を交わすリュウがいた。



