「咲音!!遅刻しちゃうわよ!!」
「はーい!!今行く!!」
あれから10年。
私は14歳になった。
いつも明るくて綺麗なお母さん。
そんなお母さんに急かされながら学校に行くのがいつもの朝。
この歳になると、お母さんのあの涙の理由も、お父さんがどうなったかも理解していた。
なぜ、お父さんは起きないのかと言う質問にお母さんは、
『ちょっと疲れちゃったんだよ。少しだけ、寝かせてあげて』
と、涙をいっぱい貯めた目で言った。
その時はお母さんが何を言っているのか理解できなかったけど、今は理解している。
「.....」
お父さんは病気であのとき、死んでしまっていたんだ。



