Side 咲音 ケータイに表示されていた名前は桃也。 ああ、そっか。 なんの連絡もなしに私はここにいた。 怒っているんだ。 辺りはもう真っ暗。 普段なら帰っている時間だ。 「もしもし」 人混みから離れて電話にでる。 なんて、言い訳をすればいいんだろう。 『咲音!!お前どこにいるんだよ!!?』 うわーお。 やっぱ怒ってる。 ケータイの向こうから聞こえる桃也の怒鳴り声。 「ごめん」 『いや、謝るんじゃなくてどこにいんのか教えろよ!!』 「え....」 教えろ?