ちらりと尚紀の方を見てみると、まだ真剣に電話中。
全く、どんなことを話しているのやら。
「うん。わかった。今からね」
どうやら会話が終わったらしい尚紀はそう言って電話を切ると僕たちにかなり不機嫌そうな顔を向けた。
怒っているのね、これ。
「で、どーしたんだよ?咲音のことか?」
ソファーに腰かけたまま、尚紀に聞く桃也。
桃也もまた真剣な表情。
「咲音が拉致られた」
「は?」
「え?」
咲音が拉致られた?
「場所はどこ?」
咲音を拉致るとか、マジいい度胸してるよね。
神宮寺財閥敵に回すなんてさ。
自分でもわかるくらい不機嫌な自分の声。
桃也の表情も真剣な表情から、怒りの表情に変わっていた。
「それがわからないみたいなんだよねぇ。神宮寺財閥の力を持ってしても見つけることができなかった。そんなことが国内でできる奴は....」



