クランは、素奈多を抱き上げ、ベッドの上に寝かせた。

倒れていた点滴のスタンドを元通り立て直す。

血液がチューブの中を逆流していたのが、次第に元に戻っていった。

クランは、声を潜めると、素奈多の耳元で囁くように言った。

「正体ばらしたって判ったらどやされるぜ……。あのな、俺、佐藤九嵐の研究に一枚噛むことになったんだ」

素奈多は、けげんな顔でクランを見上げる。

横になると、眩暈が少しおさまった。