鏡の国のソナタ

花南は、宙にただよう赤い風船を見上げて遠い目になった。

「だって……あの子、きっと泣いてるもん」

クランは、首をすくめた。

「マジ? あいつ、今頃、クッションをボコにしてると思うけどな?」

「まあ、それはあるかもしれないけど……。でも、あの子、男の子に免疫ないからとまどってんのよ……」

クランは吹き出した。

「確かに、あいつってガキだよな~。同じ部屋に住むのって、ゴーモンに近いって……」