「おい!聞いているのか!」
仕方なく後ろを振り返ろうとするが、首に巻きついた腕は離れず、エレナは俺に抱きついたまま。
普段なら皆の前では恥ずかしがってすぐに離れていくにもかかわらずだ。
エレナは不安がっているのだろうが、不謹慎にも俺の心は安らぎ、護衛の無礼な言葉も綺麗に忘れた。
身につけていたローブをピタリとくっついたエレナに羽織らせ、ぺたりと地面に座り込んだ体を抱き上げた。
そして、後ろを振り返ると、護衛たちは険しい顔から一転、驚愕に目を見引き、みるみるうちに顔が青ざめていった。
「シシシ、シルバ様ッ…どうしてこのような場所に…」
「話は後だ」
怯える護衛は最早自らの素性を隠すことも忘れ、皆いつものように跪いた。
その光景を見て、ブルーム、そして蹲った男たちにどよめきが走る。
「シルバって…まさか……」
俺の名に何かを思い出したようにハッと息を飲み、驚いた表情をしたノーラ。
結局、変装の意味はなかったが、端からばれないとは思っていなかった。
「エレナお姉ちゃん!」
護衛たちの後ろから走ってきたのは、森で会った子供たちだった。
エレナは子供たちの声にピクリと反応し、俺の肩に預けていた頭を持ち上げる。
そして、手で何かを拭う仕草を見せた後、子供たちの方へ顔を向けた。

