すると、沿道で蹲る男女、そして三人の男たちが目に入った。
しかし、エレナの姿がない。
エレナはどこだ?
沿道までは傾斜があるため馬から降り、焦る気持ちを抑えて斜面を駆け下りる。
幸い雨で足音が消され、男たちは一向にこちらに気付く様子はない。
そして、近づいてみて明らかになったことがあった。
三人の男たちが固まっていて見えなかったが、男たちが囲うようにして見下ろす中心に何かがいた。
「クソッ……!」
隙間から見えたのは地面に散らばった銀色の髪。
跨った男を目に入れた瞬間、ジリッと何かが焼切れ、体の奥で嫉妬に似た憎悪が湧き上がる思いだった。
それからは本当に一瞬の事で、足音も立てずに近づいた時に聞こえた在らぬ噂に嫌悪を覚え、男の背後を取ったと同時にその首に剣をあてていた。
そしてその男を立たせてエレナの姿を視界に入れ、言葉を失った。
男から解放されたというのにエレナは身を強張らせ、銀色の瞳は虚ろ気に空を見上げていた。
尋常ではないエレナの様子に戸惑ったが、ふと、エレナの頬に目が行く。

