「本当に?本当にお兄ちゃんは僕たちの敵じゃないの?」
「あぁ」
しつこいくらいにそう聞く少年に短く答えた。
「お前たち何故こんな森の中にいるんだ。親はどうした」
「僕たち行かなきゃ!ブルームとノーラお姉ちゃんが危ないんだ!」
パニックに近い程慌てている少年は俺の問いに答えることなく捲し立てる。
会話の端々から察するに、ブルームとノーラという者たちが悪漢か何かに襲われ、こいつらはそれを知らせに森を通って助けを呼びに行く途中だったということか。
しかもこんな子供を追いかける必要がある程切迫した状況だったとも推測できる。
「そのブルームとノーラという者たちはどこにいる」
「森の沿道だよ!僕たち回り道してここまで来たからちょうどこの方向を真っ直ぐ行ったらいると思う」
少年はパァっと希望に満ちた顔で俺を見て、必死にその方向を示そうとする。
沿道は確かフェルトの家の前の道の一本しかなかったな。
とすると、少年のいう沿道もそれで間違いなさそうだ。
面倒な事に足止めを食らったが、どうせあの沿道に出てフェルトのところへ向かおうとしていたところだ。
それに、その男女が悪漢に襲われて子供たちに後から泣きつかれては寝覚めが悪い。
「お前たちはここから帰れるな?」
沿道の方向を分かっていたくらいだ、森の事には詳しいのだろう、思った通り子供たちは俺の問いに頷いた。

