険しい顔をした護衛にアベルとココットの表情に怯えの色が浮かぶ。
子供ながらに、否、子供だからこそ大人の表情ひとつひとつに敏感に反応するのだろう。
アベルとココットは置いていくべきだろうかと思ていると、ブルームが護衛に向かって口を開く。
「俺が行こう。ここで過ごすならまだしも、外にでて歩き回るにはあんたたちは目立ちすぎる。しかも薬草を採りに行くのに大人数で行くのはおかしいだろ」
「しかし…」
もっともなことを並べるブルームに言葉を詰まらせる護衛。
「俺ならいつもこいつらと一緒に行動しているし、エレナのことは親戚だと言えばいい。それともあんたたちは目立たずに、しかも道案内もできるというのか?」
今度こそ護衛は黙りこくった。
ブルームはそれを逃さないとばかりに手をたたいてニカッと笑う。
「決まりだな。まぁ、変な奴がいても絡まなきゃ害はないさ」
ブルームと森に行けると分かったアベルとココットには笑顔が戻り、はしゃいでいた。
薬草を採りに行く間の少しの時間くらいなら大丈夫よね。
そしてその10分後、私とブルーム、アベルとココットは薬草を採りに行くためにフェルトの家を出た。
薬草が茂っている場所は森の奥深くまで行かないとないようなものだと思っていたのだが、意外と沿道沿いにあるものが多く、採取には苦労しなかった。

