しかし…―――
「どれ、おじさんがその成長ぶりを見てやろう」
「変態ッ!」
両の掌をニーナの前にかざす素振りを見せれば、ニーナの容赦ない鉄槌がくだされる。
バシンとスリッパで叩かれたブルームは頭をさすりながら口を開く。
「ッたた…冗談だろ。本気で叩くなよな。だいたいそんなことしたら俺があいつに殺される」
ブルームの言うあいつというのが気になったが、聞ける雰囲気ではなかった。
「分かっているんだったら冗談言わないでください」
「はいはい。で、そっちがお前と城で働いているっていう侍女か?」
突然私の方に視線が向けられ、ドキッと心臓が鳴る。
一瞬戸惑ったが、ニーナはすぐに機転を利かせて答えた。
「え?あぁそうなの。お城で風邪が蔓延しちゃ悪いから追い出されちゃったんだけど、この子も私と一緒で身寄りがないからフェルトさんにお世話になろうと思って」
旅の一行を装っていることはバレているが、妃だということは黙っていた方が良いと言うことだろう。
ニーナのとっさの嘘にブルームは私のつま先から頭のてっぺんまで見る。

