白銀の女神 紅の王(番外編)



むしろ逆の立場だったら私も戸惑うと思う。

何しろ私の誘拐騒動で婚儀をあげておらず、対外的には私とシルバは未だ正式に結婚していないことになっている。

そんな私をフェルトがシルバの妃として認めていないのも納得いく。



「少しずつ私のことを知ってもらうよう努力しなきゃね。それにはまず体調を戻さないといけないわ」


ニーナはまだ納得いっていないような表情をしていたが、私が気にした様子もないことを分かると安心したように「そうですね」と言ってやっと笑みを見せた。

緊張の面もちで見守っていた周りの侍女と護衛たちも安堵の息をつき、表情を和らげる。

そしてみんなで荷馬車に乗せた荷物を降ろし、フェルトの家へ移動する。

外から見たフェルトの家は小さく、これだけの人が入れるものかと心配したが、中は意外と広かった。