「あんたね…それどや顔で言うことじゃないでしょ?てか、チョコレート渡すのってほぼ告白してるようなもんじゃん」
って、芳香には、呆れられたけど今回、私は本気だ。
たぶん、私の人生の中で一番の大勝負になるだろう。
こんな普通女子の私が人気者の楓先輩と付き合えるなんて天地がひっくり返ってもありえないことはわかってる。
まず、ちゃんと話せるかだってわかんないのに。
だからこそ、せめて…他の女子にまぎれてでも…。
…絶対、先輩にチョコレート受け取ってもらうんだから!
そう心の中で固く決心したのだった。
――――…
放課後。
善は急げということで私はその日、さっそくチョコレートを作る材料を買うために近くのスーパーへと向かっていた。
「…うーん?チョコレートと生クリーム…小麦粉っと、パウンドケーキの材料ってこんなもんでいいかな?」
今回、先輩に作るのはチョコレートパウンドケーキに決めていた。
風のうわさで先輩がパウンドケーキを好きだということを聞いたからだ。
私は、必要な材料を買うと、足早にスーパーを出て家の近くの公園に散歩がてら赴いた。
この公園は、小さい頃から私のお気に入りの場所なんだ。



