「う〜、いいの!私なんかが楓先輩に告白するなんて…恐れ多くてできないもん…」


「ネガティブだねぇ…」


芳香が苦笑い気味にそう答える。


「だって、考えてみてよ…。楓先輩を好きな女子なんてこの学校にどれくらいいると思ってるの?」


ちらりと、窓の外に視線を向けると私は再度ため息をついた。


今、私がいる校舎の窓からは、グランドで部活に励む先輩の姿が確認できる。


そして、そんな先輩を見つめるギャラリーだけで10人はいるのだ。


「さぁ…?私は全然タイプじゃないから興味ないけど……まぁ、両手で数えきれない程度にはいるでしょうね」


「…その通り!だから、私決めたんだ。バレンタインデーにチョコレートを渡したら、楓先輩のことはスッパリ諦めるって!」