†captivity†(休載)



顔の熱を冷まそうと心臓を落ち着けていると、パチンと両手を合わせる音が響く。

その主はこの場を仕切る綾愛さんだ。



「さて、大方の説明はこの辺りまでにして、本題に入りましょう」

「そうだな、少し話しすぎた。和歌とのこの後の時間が無くなっちまうから早く終わらせるぞ」

「待ってください、今この場がメインだということをお忘れで?」

「まぁまぁ、言い合ってると本当に朝になっちゃうので進めますよー」



重大事項なのにそんなテキトーな態度でいいのか?とも思ってしまうけれど、細かいことに突っ込んでいたら本当に時間が無くなってしまうので、ここは黙ることにした。



「今回瀧澤さんと和歌さんが加わったことで、女友達を呼ぶというハードルがぐっと下がりました。友達との遊びに別の友達を呼ぶことは、より自然にお兄ちゃんと他人との接触時間を増やすことができます」



心くんも奏多くんも、女友達……どころかたぶんきっと、普通の友達すら話している所を見たことがない。

奏多くんの過去の話から聞いたように、二人と一緒に居るということは一般的な友達関係を作ることすら難しくなるんだろう。



「そこでこの後呼びやすいタイミングというと……夏休み、みんなで集まってワイワイするというのが自然なタイミングだと思います」



夏休み……確かにあと1ヶ月と少しで夏休みに入る。



「結構遠い未来ですね……」



すぐに進めるような計画ではないようだけど……奏多くんなんて1ヶ月もかけてたし。



「そうですね。まず梅雨の時期だと屋外でのイベント中止率が高くなってしまうこと、行動範囲も狭まってしまいます。テスト期間と、彼の更新の期間もありますね」

「あと、俺たちの準備期間だ」

「準備期間……」



心くんの人差し指が、あたしの心臓を指差す。