「知り合いだったんですか?」
「知らねぇよ、あんなビビリ」
うわぁ、ビビリ認定。
知らないとか言ってるけど、これ絶対知ってるパターンだって。
目がそう語ってる。
めっちゃ嫌ってそうな目してる。
でも哀れんだりしない。
可哀想だけど、確かに知ってるのだ。
あたしは売られたのだということを。
そのまま教室を見渡せば、全員から哀れむ視線を戴いた。
どうやらあたしは今可哀想な人らしい。
そして誰も助ける気はないと。
ほうほう、なるほどね。
冷たい奴らだ。
あたしは餌食にされたのだ。
「それにしても緒方先輩、めちゃくちゃ怖がられてますよ?」
「テメーは怖くねぇのかよ?」
「え、だってあのチワワ……じゃなくて、奏多くんが懐いてる時点で恐怖なんてすっ飛びますって」
だって奏多くん、友達だもん。
友達の友達は、大事にしなきゃだもん。
……なんてね、簡単に手出してくるような人じゃないってちょっぴりわかってきただけだけど。
「とりあえず暴力振られなければ、大抵のことは大丈夫です。そんなことより、何であたしを呼んだんですか?用件聞きたいです」
あたしは何かしてしまったのだろうか?
少しの不安がよぎる。



