「まぁ、実際の二人を見て安心していただけたならよかったです。さて、次の計画に移りましょう!」
にっこりと笑ってそう無邪気な顔で話す彼女と『計画』という二文字が似合わない……。
一体何を考えているのか、この人も掴みにくい。
さすが兄妹……。
「ちなみに以前行った計画は、和歌さんとの接触から今日に至るまでの様子見ですね!」
「……あたし??」
まさか、いつの間にか知らない内に計画の一部になっていたらしい。
なんということだ、既に巻き込まれていたではないか。
「お兄ちゃんたちが和歌さんと会う前から既にあなたをご存知だったことは知っていますか?」
「あ、それは前に聞きました」
「茅ヶ崎さんが高校に上がってきたタイミングで、和歌さんとの接触を提案されました。まずは同い年の自分が仲良くなるのはどうかと」
その言葉を聞き、バッと奏多くんを見る。
彼は……最初から仲良くなる気でいた……の??
「そういえば、初めて会ったあの道、奏多くんの家とは別の方向じゃなかった……?」
いつもはあの家に柴犬はいなかった、ただ、あの日の後3日程その家で飼われていて……元気が良すぎて門から胴体ごと主張してきていたのだ。
一時的に預かってるわんちゃんなのかなぁとその時は思っていて、その後なぜ奏多くんがあの場にいた事なんて完全に忘れていたのだ。
「奏多が俺の家に泊まって、悟だけ前日に帰ってた。俺が寝てる間に奏多が先に登校するのはよくあることだったが、あの日は何故か犬がいたな」
「知ってれば……別の道、通ったの…に……」
あの日を思い出してぷるぷる震える奏多くんを、今度は灯くんがよしよしと撫でる。
いいな、その立ち位置あたしと代わってほしい。
「奏多は、和歌に話しかけたいけど話しかけられなくて、でも頑張りたいからあの頃よく緒方先輩の家に泊まり込んで、和歌と同じ通学路を歩いてたんだよ」
「なにそれいじらしい……」
「結局話しかけてもらうまでに1ヶ月かかりましたけどねぇ」
「4月からそれしてたの!!?」
まさか過ぎる長期計画を話されて、顔に手を当てて恥ずかしがってる奏多くんも可愛いけども……!!



