「すずちゃんとみくちゃんには……事情を話さない方がいいんでしょうか……。関わるかどうかの選択は、彼女たちにも決めてほしいので」
「私も思ったのが、ちょっと危険というか……お兄ちゃんがどう対応するのかがちょっと読めないので、無理にとはもちろん言いません。出来るだけ事情は伏せたいですが、彼女たちの意思は尊重したい、その上でお願いしたいです」
綾愛さんは困った顔で、また考え込む。
さっきまで項垂れていた灯くんが、ふとこちらを見て話す。
「今日は俺が2人を呼んだんだよ。どんな風に和歌と先輩が付き合ってるか見たくないか?って。2人も陰ながら心配してたみたいだから」
そう説明してくれた彼の話を聴いて、友達の二人があたし達をどう思っていたのか、そこで初めて知る。
心配されていたなんて、思ってもみなかった。
「灯くんが二人を呼んでたの?」
「綾愛ちゃんから提案されて、俺が連れてきた。彼の持ってる噂が噂だから、何度も先輩たちがどんな人なのか俺に話しを聴きにきてて、いくら話したところで実際二人で居る所を見ないと完全には安心出来ないだろうから、今日の集まりに着いてこない?って誘ったんだよ」
「そんなに心配してくれてたの……?」
「まぁ、授業中に連行してった印象も強かっただろうからね」
灯くんはスっと緒方先輩に視線を向けると、コテっと首を傾げる。
「まぁ、二人を見ていてようやく安心出来たみたいですが」
「大事にしてるんだ、安心出来ないようなことはしてない」
「いや、たまにぶっ飛んだことしてきてますよ、心くんは」
そのぶっ飛んだこと以外は一緒にいて心地いいんですけどね。



