あれ、まって……これ綾愛さんが東先輩に『そう思わせたい』方の脚本になっているのでは……?

あれ?こんなすんなり?あれ???



「あぁ、泊まるの?クソ女」

「す、ストレートに罵られれれるれるれるるれ……はれ?」

「いっぱいいっぱいみたいだから、いじるのは後日にしてあげるよ。せいぜい頑張れば?」



すんなりと話を終わらせてくれた東先輩に、私はもしや心くんの、とんでもない才能に気づいてしまったのかもしれない。



「警戒心丸出しの先輩を前にして嘘を一切話してない上に誤魔化しきれていて、さらに今夜の思惑誘導まで……?」



ちょっと、だいぶ、この人敵にしちゃいけないタイプだと感じた。

この人、好きなように状況を操れてしまうのでは……?



「今のは一体何だったのでしょう……」

「あ?」

「あたしのあたふたすら利用されていたような気がするのですが……」

「『うまい嘘つけるけど、嘘つくほど優しくも最低でもない。どちらかといえば、隠すかな』って発言に聞き覚えはないか?」

「……確かに、それ東先輩の発言ですね、思い出した」



あの人確かに言ってたわ、『隠す』って。

こういうことか。

え、怖っ、なにそれ怖っ!



ということはそれを理解してる先輩も、コレを経験したことがあるってことだろうか……。



「それ知っててよく一緒に居られてますね、東先輩そういうの嫌いそうじゃないですか?」

「元々俺も完全には信頼されてない。ただ、俺は『認めた奴の不利益になることはしない』からいいらしい」

「それが東先輩から見た心くんなんですね」