はっ!と和歌さん気付く。
東先輩、こちらにわざわざ来てまで話を聞きに来るとは、もしや……。
「す、すみません、気が利かなくて……」
「突然なに?」
「……!あの……!!」
「はやく言えば?」
「混ぜて欲しかったんですか?」
数秒の沈黙。
その場で固まる東先輩、一瞬止まりはしたけれど次の瞬間には我慢出来なかったのかこっそり吹き出していた心くん。
口元も押さえて無表情の体でいたいんだろうけど、バレてますよ、肩震えてますよ。
「……温室に植えてほしいの?」
「それは暗に植物になれということですか……?」
「その方が口が黙りそうだね」
「酷い!!けど植物は新しいパターンだ!!!」
東先輩には、盛大に呆れた顔をされた。
相変わらず心くんは震えが止まらないご様子。
「で、結局?綾愛がなにかしたの?」
「あ、ええとですね……」
心くんをチラ見して……思い出してまた照れてしまう……。
和歌さんこういうのに弱いんです、例え緊迫した場面でも……。さーせん。
「これ」
すっと伸びた手が、あたしの持つ袋に触れ、優しくさらって行く。
「水族館の土産だろ?」
「……ソウデス」
やっぱりバレバレだったじゃないか!!!
「みやげ?」
「出る時にバタバタしてたから、会計を後回しにして出てきたんだ。和歌が綾愛に伝えて、回収したからここにある」
「あぁ、奴ら来る前に逃げた時の?」
「そうだ、盛大に邪魔されたからなぁ?和歌」
ふわっと肩を抱かれ、意識してしまっている私は明らかにビクンと跳ね上がる。
フッと笑う声が聴こえるけど、その顔を見る余裕は今はない。
…………ほんとは見たいけど!!
「つうわけで、続きは今夜、俺と過ごす」
「……!!!!」



