ソファーに座ると、思いの外疲れていたのか、それとも緊張していたのか、フッと全身の力が抜けた。
奏多くんは、台所だ。
……あ。
気を抜いていたせいか、東先輩のまん前の席に来てしまった。
立ち上がろうかと考えていると、隣に緒方先輩が座ってしまった。
……しまった、どっちに行っても東先輩が近い。
彼は本を読んでいるから、今は静かだけれど……。
と、東先輩をチラチラ見ていると、東先輩と目が合った。
いきなり視線を向けてこないでほしい。
反射的に、あたしは目を反らした。
「藤崎さん」
急に名前を呼ばれたあたしはビックリ。
しばらく会話していなかったような……むしろ避けていたような気もしなくもないけれど、そんな気がするから。
「……な、ナンデショウ……?」
鬼畜悪魔という印象が強い東先輩。
だいたい、こうさ、ニコニコしてるキャラこそ裏番長っていうか、ラスボスというか裏切るというか……典型パターンだよね。
いや、この人は隠れもしないで悪意全開だけどさ。



