ぐいぐい、いつになく強引チックに、繋がれた手を引く奏多くん。
どうやら逃がす気はないらしい。
この前といい今日といい、なぜあたしはここに来てしまっているんだ……。
エレベーターで昇りながら、空いている手で頭を抱えた。
「朝の宣言はどうした?あ?」
にやり、笑っているのは、今朝呼びもしていないのにあたしの家に来ていた緒方先輩だ。
チッ……なんかムカつく。
たしかに、言った。
あたしは朝宣言していた。
『今日はまっすぐ帰ってくることをここに宣言します』
『奏多、引きずってでも連れてこい』
そしてちゃっかり、奏多くんは緒方先輩の言葉の通り、あたしを引きずって来ていた。
いつになく積極的だと思ったら……そういうことか。
悔しい。
和歌は非常に悔しいです。
「いいからさっさと座れ」
「はいはい。今日も私はご馳走になるのでしょうか?」
「そうだ。餌付けだ」
「例え餌付けだとしても、奏多くんにされてるからまだ救われてます」



