「奏多いっそ女でいいんじゃね?」
「学祭でメイド服でも着せてみようぜ」
「俺メイクしてみてぇ。フルメイク奏多とかもう女にしか見えねーぜ絶対」
「お前メイクしたことあんの?」
「女にやり方聞きゃ出来んじゃね?」
移動教室でこの五人組と僕しかいない教室内。
単なる嫌がらせ。
わかってる。
でもそんなに言われたら、この自分の顔だって嫌いになる。
情けない性格も、言い返せない僕も、顔も、僕のなにもかもを否定され続けて……僕は、僕だって、僕が嫌いなんだ。
いっそ無視された方が幸せだ。
空気になって、誰の視界にも入りたくない。
息苦しいこの世界から、いつか抜け出せる時は来るだろうか。
僕をとりまく全てが敵のようで、ずっとビクビクしながら毎日を過ごして。
疲れて、泣いて。
疲れて、泣いて。
心が悲鳴を上げ続けているのに、もう何年も前から限界をとっくに越えているのに、なにも変えることの出来ないこの世界が大嫌いだ。



