「春!」



「え?」




急に大きい声を出すから
俺はビクッと動いた。




「これからは……
辛いことがあったら、私に言うこと!
辛かったら泣くこと!分かった?!」



まだ泣いてるくせに
真剣な目で言うから俺はプッと
笑ってしまった。



「な、なんで、笑うの?!」



「ははっ。ごめんごめん」




俺は頬を膨らませて怒るみのりを
抱き寄せた。


その瞬間。

何かがこみ上げてきた。





「春…??」




俺の変化に気付いたのか、
顔を上げようとするみのりを
力ずくで下に向けた。




「こっち見んな…」




俺の目から落ちた
涙がみのりの頭に落ちた。



俺も泣くのか…。



そんなことをふと、思った。



「春…」



みのりは愛おしそうに俺の名前を呼び
ギュッと優しく抱きしめてくれた。