チョコレート箱 【完】





トモはハッとしたように、宙で止まっている私の手を見た。

何か言いたげな表情になってから、顔を伏せる。


……なんだ。

私の感情、邪魔だった……?



「……もうっ、やだなぁ~。痛いってば、トモ」

いつもの調子を心掛けて、笑顔を作る。


……私、泣いてないよね?

ちゃんと笑えてる?

わかんない……。



「あ、ごめん……サヤカが悪いわけじゃないから。それだけは、わかって?」

「あたりまえでしょ? 私を叩いた罰! 今度ケーキ奢ってよね」

「は? マジかよ……」


紙袋をさりげなく後ろに隠す。

結局私は、今年も本命チョコは渡せなかった。


もう、ずっと本命チョコなんて渡せないかもしれない――……