「はいはい。罰として、試練を与えます」
「…………」
クスクスと楽しそうに笑うナオミ先輩に、何も言えない。
……ズルイだろ、先輩。
無自覚じゃなかったら、本当にズルイ。
「これは没収! 代わりにコレが試練ね」
チョコを没収されて、代わりに何かを渡された。
逃げるように去っていく先輩の背中を見てから、手の中のものを見てギョッとした。
これ、って――……!
「……チョコ、ですか?」
俺の質問に、先輩は微笑んだ。
「ごめんね。私、手作りって苦手なんだよね」
「おいしく頂きますっ!」
「ばっ! そんな、口に全部突っ込むな! 水島キリッ! 少しは味わって食べなさい!」
飾らなくて、俺自身を信じてくれた先輩が――……
「………好きです」
「ちょっ…! 口にチョコを付けながら言うなぁっ!」
fin.