チョコレート箱 【完】





何も聞こえなくなってから、裏庭に顔を出した。


「……ナオミ先輩」

「ぎゃっ! いきなり話しかけないっ!」

「あ、すみません……じゃなくって! あの、さっきの話……」


説明不足なその言葉で、ナオミ先輩は理解したらしい。

顔を赤く染めて、睨むように俺を見た。


「……盗み聞き反対!」

「や、違うんですよ。ナオミ先輩を探してて……」


「ふぅん……そう。探してたのねぇ……」

少し不機嫌に見えるナオミ先輩に、頭を下げる。

「はいっ! 信じて下さいッ!」


焦る俺をしばらく睨むように見ていたが、手元を見た瞬間、ナオミ先輩は吹き出した。


……え? 笑った?



「ははっ! バーカ。見えてんのよ、メッセージカード」

「え? わっ! いや、俺は何も………い、妹が勝手に!」


……見られてしまった。

『ナオミ先輩へ』と書かれたメッセージカードを。


きっとそれが見えたのなら、『水島キリ』という名前も、見えてしまったのだろう。