チョコレート箱 【完】





「キリ君を弄ぶのは、いい加減やめなさいよっ!」



ヒステリックな叫び声が裏庭から聞こえて、俺は足を止める。

……もしかして。


「弄んでない。私なりに、水島キリの事は考えてる」


ハキハキとしたナオミ先輩の口調に、昔の事を思い出した。

……そうだ、あの時も。



俺が他の奴らから、仲間外れにされていた時……誰も手を差し伸べてくれなかった。

けど、それを見かけただけの通行人が。


……ナオミ先輩が、俺に手を差し伸べた。

何も言わずに。


俺に向かって「大丈夫?」とか。

他の奴らに向かって「最低だよ」とか。


何も言わないで、手を差し伸べただけだった。



なんで何も言わないのか聞くと、ナオミ先輩は困ったように笑って言った。


「君なら……君たちなら、解決できると思ったから」