「あれ? 野乃スミエさん……? なんか、暗いねぇ」
マイペースな、テノールの声。
その声に、私はバッと背筋を伸ばして振り返った。
私より背が低くて。
声もちょっと低くて、心地がいい。
髪はサラサラと風に揺れていて。
「……これが男子だなんて、まだ信じられないんですけど」
私が思わずポツリと本音を零す。
しまった。と思った時には遅くて。
目の前には、膨れっ面の男子、蓬生ヒカル。
「悪かったね。僕はどうせ、女の子っぽいヘノヘノした男だよっ!」
「ご、ごめんって……」
プイッと顔を逸らすヒカル。
…って、そういうことするから、可愛く見えちゃうんでしょーが。
「で、僕を呼んだって事は……なんか、相談?」


